■  ピロリ菌と癌



  以前、「ピロリ菌が胃癌を作る仕組み」などという
  タイトルで、胃におけるピロリ菌の作用が、新聞記事
  で紹介されたことがあります。細菌の研究で、ピロリ
  菌が陽性の場合、その3%近くに胃がんが発見されま
  したが、陰性の場合には胃がんは全く発見されなかった
  のです。この結果から考えられることは、胃癌の場合に
  ピロリ菌が存在する確率は100%に近いということで、
  ピロリ菌の何らかの性質から、胃がんが誘発されると
  考えられるようになったのです。

  この記事には、「本来は免疫細胞にしかないはずの
  酵素がピロリ菌の刺激で出現し、乱れてしまった酵素
  ががんの引き金になるのではないか」と、述べられて
  いました。これまでは、ピロリ菌と癌との因果関係は
  明白ではなかったのですが、99年に発見された酵素の
  AIDが、細菌などの外的刺激に対して細胞が突然変異を
  起こす誘因となるというのです。これが細胞が突然癌化
  する仕組みだと指摘したのです。

  マウスのでの実験でもピロリ菌に感染したネズミでは、
  胃粘膜細胞はAIDが多量に存在することがわかりました。
  このピロリ菌がいるからこそ、癌細胞への突然変異を
  抑制できなくなるというのです。このように、遺伝子
  がん症で傷つく仕組みに活性酵素が挙げられるように
  なったのです。この新聞記事では、今回は、遺伝子を
  変異させる酵素が特定されていますので、
  かなり信頼が高いと言えるでしょう。

  ただし、これらはすべて、研究段階です。
  引き続き、ピロリ菌を研究することは必要です。
  いったいピロリ菌の何がAIDを動かし、さらに、AIDが
  傷つけるターゲットは、何なのでしょう。
  これが分かれば、癌の予防や治療ががぜん進展
  すると思います。期待したいところですね。


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